居住支援法人の指定を受けるには——指定要件・申請の流れ・連携先の見極め方

高齢の入居希望者を受け入れるとき、実務の相手として名前が出てくるのが「居住支援法人」です。家賃債務保証、入居相談、見守り、そして2025年10月からは残置物処理まで、要配慮者の入居を支える業務を担う法人として、都道府県が指定するものです[1]。ただ、この法人がどういう手続で指定され、どこまでの義務を負っているのかは、あまり知られていません。居住支援協議会について整理した記事では「協議会と法人は別物である」ことに触れましたが、法人側の指定手続そのものは扱っていませんでした。

本記事はそこに絞ります。想定する読み手は2種類です。ひとつは自社で指定を取ることを検討している宅建業者・管理会社、もうひとつは指定を取るつもりはないが、連携先として居住支援法人を選ぶ立場の会社です。後者のほうが数としては多いはずなので、最後の2章はそこに厚みを置いています。根拠はすべて国土交通省・厚生労働省の公表資料と、改正住宅セーフティネット法の施行通知の記載です。なお指定基準の具体的な考え方は都道府県知事が判断することとされているため[3]、本記事の内容はあくまで国が示した枠組みであり、実際の運用は所管の都道府県への確認が前提になります。

居住支援法人とは何か——都道府県知事が「指定」する居住支援の担い手

国土交通省の説明はこうです。居住支援法人とは、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を養育する者、その他住宅の確保に特に配慮を要する者)の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、要配慮者に対し家賃債務保証の提供、賃貸住宅への入居に係る住宅情報の提供・相談、見守りなどの生活支援等を実施する法人として、都道府県が指定するものです[1]。根拠は住宅セーフティネット法第59条です[1][2]

ここで、よく混同される「居住支援協議会」との違いを先に押さえておきます。協議会は地方公共団体が不動産関係団体・居住支援団体等と連携して設立する会議体で、根拠条文は同法第81条第1項です[6]。つまり協議会は「地域の関係者が集まる場」、法人は「都道府県知事の指定を受けた事業主体」であり、行政の関与の仕方も、法律上の位置づけも別です。数で見ても、協議会は全国192協議会(2026年6月30日時点)[7]、法人は1,196法人(同時点)[4]と、桁がひとつ違います。

居住支援協議会と居住支援法人の対比(根拠条文・主体は[1][6]、数は[4][7]
項目居住支援協議会居住支援法人
根拠条文住宅セーフティネット法第81条第1項同法第59条
性格地方公共団体が関係団体と連携して設立する会議体都道府県知事の指定を受けた法人
行政の関与設立・参画指定・監督
全国の数192協議会(2026年6月30日時点)1,196法人(2026年6月30日時点)

指定を受けられる法人の類型も定まっています。国土交通省の制度概要資料は、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人(公益社団法人・財団法人を含む)、社会福祉法人、居住支援を目的とする会社等を挙げています[2]。法律の条文上は「特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人又は住宅確保要配慮者の居住の支援を行うことを目的とする会社」であって、同項各号の基準に適合するものとされています[3]。株式会社が排除されていない点が、不動産会社にとっての入口です。ただし例外もあり、施行通知は地方住宅供給公社法による地方住宅供給公社を居住支援法人として指定することはできないと明記しています[3]

業務の範囲は6つに整理されています[2]

居住支援法人が行う業務[2]
登録住宅の入居者への家賃債務保証
賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供・相談
見守りなど要配慮者への生活支援
賃貸人への賃貸住宅の供給の促進に関する情報提供
残置物処理等(モデル契約条項を活用して実施)
①〜⑤に附帯する業務

このうち④と⑤は2024年改正で追加・整理されたものです。⑤の残置物処理については、入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人の業務に「入居者からの委託に基づく残置物処理」を追加したと説明されています[5]。④については施行通知が、要配慮者の受入れにあたり賃貸人が抱く不安を軽減することが重要であることから追加されたものだと述べています[3]大家側への情報提供が法律上の業務として明記されたという点は、管理会社にとって連携の話をしやすくなる変化です。残置物まわりの契約実務は高齢者の賃貸契約チェックリストでも扱っています。

そして重要な但し書きがあります。制度概要資料は、居住支援法人が①〜⑤のすべての業務を行わなければならないものではない旨を注記しており[2]、施行通知も同様に、法第62条各号に掲げる業務のすべてを行う義務はないとしています[3]。この一文が、後半の「連携先の見極め方」の出発点になります。

1,196法人まで増えた。そして4割超が株式会社である

指定数は伸びています。改正法の説明資料によれば、2024年12月末時点で967法人(47都道府県)が指定を受けていました[5]。国土交通省が公表する居住支援法人一覧の最新版では、2026年6月30日時点で1,196法人です[4]。1年半で229法人、率にして約24%の増加です。

内訳が示唆的です。2024年12月末時点の967法人を法人属性別に見ると、次のようになっています[5]

居住支援法人の法人属性別 指定数(2024年12月末時点・合計967法人)[5]
法人属性指定数
株式会社442
NPO法人177
一般社団法人133
社会福祉法人93
合同会社39
有限会社33
社会福祉協議会22
一般財団法人7
協同組合6
公益社団法人4
公益財団法人3
企業組合/生活協同組合各2
合資会社/社会医療法人各1
その他2

株式会社が442法人で全体の約46%を占めます。合同会社39・有限会社33を足すと514法人、過半に届く水準です。居住支援法人というと福祉系のNPOを思い浮かべがちですが、実際に指定を受けている法人の多数派は営利法人です。不動産事業を営む会社が指定を受けることは、制度上の例外ではなく、実態としての本流に近いということになります。

もっとも、この数字を「参入が容易である」と読むのは早計です。次章以降で見るとおり、指定は申請時点の審査だけでなく、指定後に継続する認可・報告・記録の義務を伴います。数が増えていることと、負担が軽いことは別の話です。

指定の申請——出すのは「実施計画」を添えた指定申請書

手続の入口は明快です。居住支援法人の指定を受けようとする者は、法第60条第2項第1号の「支援業務の実施に関する計画」(実施計画)等を添付した指定申請書を、都道府県知事に提出します[3]。申請先が市区町村ではなく都道府県である点は、居住サポート住宅の認定が市区町村長(福祉事務所設置)等によることと対照的です[5]。同じ改正法の枠内でも、認定と指定では窓口が違います。

指定申請書には、支援業務の種別等のほか、支援業務に関する問合せを受けるための連絡先を記載します[3]。ここで施行通知が念を押しているのは、この連絡先の意味です。都道府県の担当者からの確認や通知を受ける連絡先ではなく、住宅確保要配慮者等からの居住支援に関する問合せを受ける連絡先を指します[3]。専用窓口の設置までは求められていませんが、問合せが多く寄せられる場合等には適切な相談対応体制を構築することが望ましいとされ、都道府県知事に適切な指導を求めています[3]。さらに、すでに援助等を受けている要配慮者が困りごとを相談しやすいよう、通常の担当者とは別の相談先を設けておくことが重要な視点であるとも書かれています[3]

添付する実施計画には、次の5点を記載します[3]

実施計画の記載事項[3]
(1)組織、人員及び運営に関する事項
(2)支援業務の概要及び実施の方法に関する事項(要配慮者から対価を得て行う場合は、当該業務の内容、対価及び提供の条件に関する事項を含む)
(3)地方公共団体との連携に関する事項
(4)要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に資する活動を行う者、及び要配慮者の福祉に関する活動を行う者との連携に関する事項
(5)支援業務に係る人材の確保及び資質の向上に関する事項

(3)と(4)は2024年改正で連携を促進する趣旨から置かれたもので、ここでいう地方公共団体には指定主体である都道府県のほか、活動地域の市区町村も含まれ得るとされています[3]。具体的な取組の例として施行通知が挙げるのは、居住支援協議会への積極的な参加や、地方公共団体が実施する居住支援関係事業の受託等です[3]。(5)については、居住支援協議会や外部組織・全国団体等が主催する研修会への参加等により、住宅・福祉の専門的知識、最新のICT技術等の全国的な動向、他の居住支援法人の優良な取組事例等を把握することが例示されています[3]

実務的に効いてくるのは、この5項目が「自社で書けるか」がそのまま準備の進捗になるという点です。とくに(3)(4)は、申請書のために急ごしらえできる性質のものではありません。協議会に出ているか、福祉部局や地域の支援団体と話ができているか、という日頃の関係が問われます。

指定基準は7項目。債務保証・残置物処理を行うなら上乗せがある

都道府県知事は、支援業務に関し次の7つの基準(指定基準)のいずれにも適合していると認められるものを指定できます[3]。繰り返しになりますが、具体的な指定基準の考え方は都道府県知事が判断するものとされており、以下は施行通知が「例えば、以下のようなものが考えられる」として示した例示です[3]

指定基準(7項目)と施行通知が示す例示[3]
基準内容と例示
(1)実施計画が支援業務の適確な実施のために適切であること。例=必要な組織・人員・運営の体制を確保/特定の者につき不当に差別的な取扱いを行わない/基本方針および都道府県・市町村の賃貸住宅供給促進計画に照らして適切であること 等
(2)実施計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。例=支援業務に必要な財源を法人として十分に有している/居住支援活動の実績を有している 等
(3)債務保証業務を行う場合の上乗せ。知識・能力(法第62条第2号〜第5号の業務の経験、登録家賃債務保証業者としての業務の経験、その他要配慮者の居住の安定の確保に資する業務の経験のいずれか)と、財産的な基礎
(4)残置物処理等業務を行う場合の上乗せ。国土交通省令第29条第1号ロ及び第2号で定める知識・能力と財産的な基礎
(5)役員・職員の構成が支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。例=暴力団員等でない/役員のうちに拘禁刑以上の刑に処され、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者がいない 等
(6)支援業務以外の業務を行っている場合、それにより公正な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。例=利益相反関係となるおそれのある他の業務を実施する組織との間に適切な分離がなされていること 等
(7)その他、支援業務を公正かつ適確に行うことができること。例=定款等に必要な記載がある/実施のための意思決定がなされている/法令等遵守のための組織体制・内部規則等が適切に整備されている 等

不動産会社にとって注意が要るのは(6)の利益相反です。仲介・管理・サブリースを本業とする会社が居住支援法人の指定を受ける場合、支援業務と本業のあいだで適切な分離がなされているかが問われます。組織の分け方や意思決定の経路をどう説明するかは、申請前に整理しておく論点です。

また(3)の債務保証業務については、財産的な基礎として、①申請の日の属する事業年度の前事業年度における財産及び損益の状況が良好であること、②その状況が申請年度以降も良好に推移することが見込まれること、③行おうとする債務保証業務の内容・規模・態様に照らして継続的かつ安定的に実施するに足りる財産的基礎を有すること——の3点が挙げられ、①②は申請時の添付書類である前事業年度の財産目録・貸借対照表等を参考に総合的に判断するとされています[3]。家賃債務保証そのものの制度的な位置づけは家賃債務保証と居住支援法人の解説記事で整理しています。

複数県で活動する場合の扱いも明記されています。指定を受けた都道府県の全域で業務を行う必要はなく、一部の区域で行うことも認められる一方、複数の都道府県で業務を行おうとする場合は、それぞれの都道府県知事による指定が必要です[3]。基準(1)の審査でも、複数県で行おうとする場合は各県における体制が確保されているかを、他県での業務の状況や今後の見通し等も聴取して総合的に判断する必要がある、と留意が促されています[3]。広域で展開する管理会社ほど、ここは事前に効く情報です。

対象者の絞り込みも可能です。支援業務はすべての要配慮者を対象とする必要はなく、法人の目的や組織、人員等に応じて一部の属性の要配慮者に限定した支援を行うことも可能とされています[3]。高齢者に特化した支援を行う法人が成り立つのは、この規定によります。なお、市区町村の福祉部局等が地域の支援団体の実情を把握している場合も多いことから、申請の際に市区町村からの推薦書等がある場合には、これらを考慮の上で指定することが考えられるとも書かれています[3]

指定を受けた後に続くもの——認可・公示・区分経理・5年間の帳簿

指定はゴールではありません。施行通知は、指定後に継続する手続を具体的に列挙しています[3]

指定後に継続する主な手続[3]
手続内容
実施計画の公示指定を受けたときは、実施計画に記載された事項をインターネットの利用その他の適切な方法により公示する
業務規程の認可債務保証業務を行う場合は債務保証業務規程を、残置物処理等業務を行う場合は残置物処理等業務規程を定め、都道府県知事の認可を受ける
事業計画・収支予算毎事業年度、実施計画を踏まえて作成し、当該事業年度の開始前に都道府県知事の認可を受ける(指定を受けた年度はその指定後遅滞なく)。認可を受けたときは記載事項を公示する
事業報告書・収支決算書毎事業年度、財産目録及び貸借対照表を添付して、事業年度経過後3月以内に都道府県知事に提出する
区分経理債務保証業務およびこれに附帯する業務、残置物処理等業務およびこれに附帯する業務、その他の業務の経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理する
帳簿の備付け・保存債務保証業務について定められた7項目を記載した帳簿を備え付け、契約の終了の日から起算して5年を経過する日まで保存する

事業計画等の資料は支援業務の公正かつ適確な実施を確保するために必要なものであり、提出されない場合等には法第68条の監督命令等の対象となり得ると明記されています[3]。要配慮者から対価を得て支援業務を行う場合には、債務保証・残置物処理以外の支援業務についても、要配慮者の氏名・住所、支援業務を行った年月日、業務の内容、対価及び提供の条件に関する事項を記載した帳簿を備え付け、同じく契約終了から5年間保存する必要があります[3]見守りを有償で提供する場合は、ここが該当します。

債務保証業務規程の認可にあたって都道府県知事が確認する観点も例示されています。被保証人の範囲が特定の者につき不当に差別的な取扱いとなっていないか、保証料の額が著しく高いものとなっていないか、求償権の行使方法が適切なものとなっているか、といった点です[3]。施行通知は、確認にあたって家賃債務保証業者登録規程(平成29年国土交通省告示第898号)の定めを参考とすることも考えられる、と補足しています[3]

なお、2025年10月1日時点ですでに居住支援法人であった法人(現居住支援法人)には経過措置があります。同日以降、遅滞なく問合せ先を記載した書類を都道府県知事に提出すること、事業計画に係る規定は2026年4月1日以後最初に開始する事業年度から適用できること、その年度の事業計画の認可申請には実施計画を添付し公示すること、などが定められています[3]つまり2026年度は、既存の居住支援法人にとって新しい様式での事業計画・公示が始まる最初の年にあたります。連携先の法人の情報が今年になって整備された、という場面があればこの経過措置が背景にある可能性があります。

指導・監督と取消し——「指定を受けたこと」の使い方にも線が引かれている

施行通知には、指導・監督についてかなりの紙幅が割かれています。制度の運用にあたっては、基準に適合した運営を確保するほか、いわゆる貧困ビジネス等の住宅確保要配慮者の権利利益を不当に侵害するような事業等が行われることのないよう、制度の悪用等を防止するための適切な指導及び監督がなされることが重要である、という書き出しです[3]

都道府県知事は、支援業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、監督上必要な命令、報告徴収および立入検査を行うことができ、一定の場合には指定を取り消すことができます[3]。報告徴収・立入検査の契機として例示されているのは、事業報告書または収支決算書が正当な理由なく提出されないとき、事業報告書等の内容や関係者からの通報その他の状況に鑑み指定基準への適合等に疑義があるとき、などです[3]。加えて、定期的に、例えば3年や5年に1度、報告徴収等を活用して詳細な状況を把握することも考えられるとされています[3]

実際に監督対象となり得る事象として、施行通知は次を挙げています[3]

  • 不当な手続による契約の締結、不当な契約条項を盛り込んだ契約の締結等により、住宅確保要配慮者の権利利益が不当に侵害されているとき
  • 要配慮者が入居する賃貸住宅が適正に管理されていない等により、居住環境に重大な影響が生じているとき
  • 他の法令(住宅、福祉・介護、消費者政策、建築、消防等)に基づく指導又は監督が行われたとき
  • 登録事業者・認定事業者・認定家賃債務保証業者・登録家賃債務保証業者である場合に、これらに係る法令の規定に違反するものとして指導又は監督が行われたとき

さらに、見落とされやすい規定が2つあります。ひとつは看板の使い方です。居住支援法人である者が支援業務以外の業務を行う際に、居住支援法人の指定を受けたものであることを殊更に示してこれを行うことは、監督命令や指定の取消し等の対象となり得るとされています[3]。制度や支援業務の内容について誤った認識を与えるおそれがあるためです。もうひとつは休眠状態への対処で、指定を受けているものの長期にわたり支援業務の実施を確認できない法人については、適切に指定の取消し等を行うよう都道府県に求めています[3]

この2点は、指定を取る側にとっては注意事項ですが、連携先を選ぶ側にとっては見極めの手がかりにもなります。次章につながります。

連携先の居住支援法人を見極める4つの視点

指定を取らずに連携先を探す会社にとって、いちばん実用的な事実は先に触れた但し書きです。居住支援法人は6つの業務のすべてを行う義務を負っていません[2][3]。「居住支援法人だから家賃債務保証をしてくれるはずだ」という前提は成り立ちません。ここを含め、確認すべき点を4つに整理します。

連携先を選ぶときの確認ポイントと、その根拠
視点確認すること根拠
業務の種別①家賃債務保証 ②情報提供・相談 ③生活支援 ④賃貸人への情報提供 ⑤残置物処理 のうち、どれを実際に行っているか。債務保証と残置物処理は業務規程の認可が要る業務なので、その有無も手がかりになる[2][3]
活動区域指定を受けた都道府県の全域とは限らず、一部の区域に限定して活動している場合がある。自社の管理エリアが入っているか[3]
対象とする属性一部の属性の要配慮者に限定した支援も認められている。高齢者を対象としているか。国土交通省の一覧は高齢者・障がい者・子育て世帯・低額所得者・外国人・DV被害者・刑余者・その他の区分で対象を示している[3][4]
公示情報指定を受けた法人は実施計画の記載事項を、事業計画の認可を受けたときはその記載事項を、インターネット等で公示する義務がある。公示が見当たらない場合は、その理由を確認する[3]

探し方は難しくありません。国土交通省が都道府県別の「居住支援法人一覧」を公表しており、法人名・所在地・業務を行う市区町村・支援内容・連絡先・対象とする要配慮者の属性が一覧で並んでいます[4]。まずここで自社エリアの法人を絞り、業務内容と対象属性を突き合わせるのが最短です。あわせて、都道府県は指定した居住支援法人に関する詳細な情報(業務内容・範囲、活動実績、得意分野等)を把握した場合、法人の同意を得たうえで関係市区町村に提供するよう努めることとされているため[3]、市区町村の住宅・福祉部局が実務的な情報を持っていることもあります。

見守り・安否確認を委託先に求める場合は、業務種別③の生活支援を実際に行っているかがポイントになります。頻度や方法をどう設計するかについては見守りサービスの選び方を整理した記事にまとめており、サービスの一例として見守りサービスの一例を見ることができます。居住支援法人に委託する場合と、見守りサービスを直接導入する場合とでは、契約の相手方も費用の出どころも変わるため、並べて検討しておくと判断しやすくなります。

依頼する側から見て、法第62条の6つの業務のうち何が賃貸人に向けられていて何がそうでないのかは、居住支援法人にオーナーは何を頼めるのか——法律が定める6つの業務と、頼めないことで切り分けています。

自社で指定を取るか、連携先を探すか——判断の材料

最後に、自社で指定を検討する場合の材料を挙げます。支援措置として、国は居住支援法人が行う業務に対し補助を行っています。国土交通省の制度概要資料は、定額補助、補助限度額700万円等とし、2025年度の補助実績は1法人あたり平均約210万円、2026年度当初予算では居住支援協議会等活動支援事業(10.81億円)の内数である、と記載しています[2]。補助の対象事業には、制度の周知・普及、地域の居住支援体制の整備、入居前支援(相談窓口の開設や不動産店・内覧の同行等)、入居中支援(見守りや生活相談、緊急時対応等)、死亡・退去時支援(家財・遺品整理、死後事務委任等)などが含まれます[5]

ただし、補助額だけで判断する話ではありません。ここまで見てきたとおり、指定には毎年度の事業計画の認可と公示、事業報告書の提出、区分経理、5年間の帳簿保存、報告徴収・立入検査への対応が伴います[3]。本業と支援業務の分離も説明する必要があります[3]年間の管理コストに見合う支援業務の量が見込めるかが、実質的な分岐点になります。

逆に、指定を取らない選択にも積極的な意味があります。改正法では、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務化され、住宅と福祉の関係者が連携した地域の居住支援体制の整備が進められることになりました[5]不動産会社は協議会の構成員である不動産関係団体の側から関与できます[6]。地域の協議会に加わり、指定を受けた法人と役割を分担するほうが、自社で全部を抱えるより現実的な地域は多いはずです。地方公共団体から、指定を受けようとする者に対して地域で必要な業務の実施を依頼・相談することも差し支えないとされており[3]、実際の入口は行政との対話であることも少なくありません。

いずれにせよ、指定基準の具体的な考え方は都道府県知事が判断するものです[3]。本記事は国が示した枠組みの整理であって、個別の可否を示すものではありません。検討を進める段階では、所管の都道府県の住宅部局・福祉部局に確認してください。

出典
  1. 国土交通省「住宅確保要配慮者居住支援法人について」(居住支援法人=要配慮者〈低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を養育する者、その他住宅の確保に特に配慮を要する者〉の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、要配慮者に対し家賃債務保証の提供、賃貸住宅への入居に係る住宅情報の提供・相談、見守りなどの生活支援等を実施する法人として都道府県が指定するもの/住宅セーフティネット法第59条/居住支援法人一覧は令和8年6月30日時点)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp
  2. 国土交通省「居住支援法人制度の概要」(指定される法人=NPO法人、一般社団法人、一般財団法人〈公益社団法人・財団法人を含む〉、社会福祉法人、居住支援を目的とする会社 等/業務=①登録住宅の入居者への家賃債務保証 ②賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供・相談 ③見守りなど要配慮者への生活支援 ④賃貸人への賃貸住宅の供給の促進に関する情報提供 ⑤残置物処理等〈モデル契約条項を活用して実施〉 ⑥①〜⑤に附帯する業務/居住支援法人は①〜⑤のすべての業務を行わなければならないものではない旨の注記/制度スキーム=都道府県知事へ指定申請/支援措置=定額補助・補助限度額700万円等・R7年度補助実績平均約210万円/法人・R8年度当初予算は居住支援協議会等活動支援事業〈10.81億円〉の内数)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp(PDF)
  3. 国土交通省・厚生労働省「別紙5 居住支援法人について」(改正住宅セーフティネット法等の施行に関する通知の別紙)(指定申請=実施計画等を添付した指定申請書を都道府県知事に提出・問合せ先の記載とその意味/実施計画の記載事項(1)〜(5)/指定基準(1)〜(7)と例示・債務保証業務の知識能力と財産的基礎・残置物処理等業務の上乗せ/留意事項=法第62条各号の業務すべてを行う義務はない・活動区域は一部でも可・複数都道府県は各知事の指定が必要・一部属性への限定可・市区町村の推薦書等の考慮・地方住宅供給公社は指定不可・公示義務/業務規程の認可と確認の観点・家賃債務保証業者登録規程〈平成29年国土交通省告示第898号〉の参照/事業計画・収支予算の認可と公示・事業報告書は事業年度経過後3月以内/区分経理/債務保証業務の帳簿7項目と5年保存・対価を得る支援業務の帳簿/指導監督=報告徴収・立入検査・監督命令・3年や5年に1度の状況把握・監督対象となり得る事象・指定を受けたことを殊更に示す行為・長期に業務実施を確認できない法人の取消し/公示等のオンライン化/経過措置=現居住支援法人の問合せ先提出・令和8年事業年度からの適用)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp(PDF)
  4. 国土交通省「居住支援法人の問い合わせ先(居住支援法人一覧)」(令和8年度第1四半期末 1,196法人/令和8年6月30日更新/掲載項目=都道府県、法人名、所在地、業務を行う市区町村、支援内容、URL、電話番号、メールアドレス、対象とする要配慮者の区分〈高齢者・障がい者・子育て世帯・低額所得者・外国人・DV被害者・刑余者・その他〉、債務保証業務・残置物処理等業務の別)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp(PDF)
  5. 厚生労働省・国土交通省住宅局「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律等について」(令和7年3月)(居住支援法人の指定数=967法人〈47都道府県〉・居住支援協議会=146協議会〈全都道府県・108市区町村〉=いずれも令和6年12月末時点/法人属性別の指定数=株式会社442・NPO法人177・一般社団法人133・社会福祉法人93・合同会社39・有限会社33・社会福祉協議会22・一般財団法人7・協同組合6・公益社団法人4・公益財団法人3・企業組合2・生活協同組合2・合資会社1・社会医療法人1・その他2/改正で居住支援法人の業務に入居者からの委託に基づく残置物処理を追加/居住サポート住宅は市区町村長〈福祉事務所設置〉等が認定/市区町村による居住支援協議会設置の努力義務化/居住支援協議会等活動支援事業の補助対象事業=制度の周知・普及、地域の居住支援体制の整備、市区町村協議会立ち上げ支援、入居前支援、入居中支援、死亡・退去時支援 等)。2026年8月22日閲覧。mhlw.go.jp(PDF)
  6. 国土交通省「住宅確保要配慮者居住支援協議会について」(居住支援協議会=要配慮者の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体が不動産関係団体、居住支援団体等と連携〈住宅セーフティネット法第81条第1項〉し、要配慮者および民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し住宅情報の提供等の支援を実施するもの)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp
  7. 国土交通省「居住支援協議会の連絡先(居住支援協議会一覧)」(令和8年度第1四半期末 192協議会/令和8年6月30日時点)。2026年8月22日閲覧。mlit.go.jp(PDF)

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